アから始まる測量用語
アーク(あーく)
点(ノード)の連続で、直線をいう。長さを持つ。一般に位相構造におけるノード(Node)間の線分を言う。アーク(Arc)のほか、チェイン(Chain)、リンク(Link)、エッジ(Edge)と呼ばれる場合もある。
RTK-GPS(あーるてぃけーじーぴーえす)
リアルタイムキネマティックGPS測量の略で、既知点からの補正観測情報を携帯電話や無線を利用して移動局に送信し、移動局の位置をリアルタイムで測定する方法をいう。精度は数cm程度で精密なGPS衛星の軌道データを後日入手して補正する方法に比べ若干劣るが、リアルタイムの価値は高い。同じリアルタイム計測であるディファレンシャルGPSに比べて精度は良い。
ISO(あいえすおー)
国際標準化機構の略で、測量関係では、地理情報システム(GIS)でのデータの標準化がわが国も参加した技術委員会(ISO/TC211)で進められている。
IMU(あいえむゆう)
Inertial Measurement Unitの略で、慣性計測装置をいう。測量の場合、GPS/IMUといって、航空写真撮影や航空レーザー計測を行なう場合に、GPSで航空機の位置を、 IMUで航空機の姿勢傾きを同時に観測して、写真撮影やレーザー計測の効率化を図ることが行なわれるようになってきている。
IGS(あいじーえす)
International GPS Serviceの略で、国際測地学協会の学術事業として設立された国際GPS事業である。これはGPS衛星の正確な軌道の測定を行うもので、世界で330点を越える地点で観測が常時行われている。わが国でもつくば、父島、沖縄など数点行われている。
ITRF座標(あいてぃーあーるえふざひょう)
ITRFとは、International Terrestrial Reference Framesの略で、世界測地系座標のことである。わが国の位置の座標は平成13年に改正された測量法により、当時の世界測地系の基準で定めることとなった。
青線(あおせん)
土地の登記関連の言葉で、法務局の登記所の公図に、青線で表示されている地番のない水路をいう。明治以来の小規模な農業用水路が多い。これは国有財産であったが、地方分権一括法の施行により、赤線(道路)とともに法定外公共物の調査が行なわれ、順次市町村に移管換えされてきている。
赤線(あかせん)
土地の登記関連の言葉で、法務局の登記所の公図に、赤線で表示されている地番のない道路で、里道とも呼ばれている。通常は土地台帳にも登記されていないことから、認定外道路(法定外公共用物)といわれている。これは国有財産であったが、地方分権一括法の施行により、青線(水路)とともに法定外公共物の調査が行なわれ、順次市町村に移管換えされてきている。
字限図(あざきりず)
明治6年の地租改正条例の施行により作成された「野取絵図」および明治18年にこれを更正した「地押調査図」の別名である。地図の精度は問題が大きいが、現在も土地登記の事務上、重要な資料として活用されている。
アドレスマッチング(あどれすまっちんぐ)
住所や地名などの情報やそれを含んだ地理情報を、GISで扱えるように、緯度経度などの座標系の数値を与えることをいう。東京大学空間情報科学情報センターでは、この処理についての無料サービスを行っている。
アリダード(ありだーど)
平板測量用の簡単な測定器で、25cm程度の木製定規に視準板等をつけ、方位、傾斜を定め、距離を求めて平板上に地図等を描くことができる。
イから始まる測量用語
イコノス衛星(いこのすえいせい)
アメリカのスペースイメージング社が2000年9月に打ち上げた衛星で、分解能白黒で0.82~1m、カラーで3.3~4mのデジタル画像を幅約11kmで撮影している。価格は白黒カラーとも5,500円/km2で、最低121km2、デジタルオルソとなると精度により違いがあるが、3~5倍となる。
位相構造(いそうこうぞう)
位相とは、図形要素間の空間関係、連結性や属性データの関係を表すもので、トポロジー(topology)と呼ばれる。点(ノード)、線(アーク)、面(ポリゴン)の間の空間関係を明示した地図データのことをいう場合もある。空間関係には、始点、終点、左側、右側、時計回り、反時計回りなどがある。
1周波(いっしゅうは)
GPS衛星から発信される搬送波、L1帯を受信できるGPS測量機器で、10km以下での測量に適している。また軽量で運びやすく作業しやすい。(2周波参照)
一対回(いっついかい)
トランシット、水準儀やトータルステーションなどについている望遠鏡の傾きの誤差を取り除くため、通常の位置(正)と反転して180度回転した位置(反)の2回観測することをいう。
緯度(いど)
地球上の任意の点を、経度とともに表すもので、赤道を0度とし、南北両極を90度とし、この間を角度で細分したものである。
伊能図(いのうず)
伊能忠敬が1801年から1821年(伊能忠敬没後3年)にかけて測量して完成した「大日本沿海輿地全図」を一般に呼ぶ。日本全国をほぼ正確に表した地図で、大中小の3種からなり、大図は1/36000で全国214枚、中図は1/216000で全国8枚、小図は1/432000で全国3枚の大きさである。正本はすべて焼失しており、現在残っているのはすべて写本である。最近まで大図は欠図があったが、平成13年アメリカ議会図書館で207枚、平成16年海上保安庁海洋情報部で4枚見つかり欠図がなくなった。
引照点(いんしょうてん)
測量した点が、工事などにより破損するおそれがある場合、あるいは現地に測量標などを設置できない場合に、その点を復元するために支障のない場所に設ける点をいう。
インテリジェント基準点(いんてりじぇんときじゅんてん)
ICタグを組み込んだ測量用の基準点のことをいい、平成16年9月に神戸市で第1号が設置された。ICタグには基準点の位置情報や周辺の地理情報を埋め込み、携帯情報端末によりいつでもその情報を呼び出せるようにしている。これにより、位置情報サービスの提供による生活支援や測量の効率化が図られることが期待されている。
ウから始まる測量用語
Web-GIS(うぇっぶじーあいえす)
地理情報システムをインターネットを使って操作できるようにしたシステムで、広く地図等を使った情報の公開とその情報を使ったユーザのニーズにあわせた情報の加工を行うのに便利である。地方自治体のほか、不動産会社等民間でも普及が進んできている。
ウェブマッピングシステム(うぇぶまっぴんぐしすてむ)
インターネットを通じて地図データや航空写真等を取り込み、パソコン上でその表示などを行うシステムをいう。国土交通省国土地理院の電子国土Webシステムや国土計画局の国土情報ウェブマッピングシステムでは、所有する地図や国土数値情報、航空写真等の無料配信を行っている。
エから始まる測量用語
永久標識(えいきゅうひょうしき)
国家基準点のように特に重要で恒久的に保全が必要な基準点を言う。古いものは花崗岩であったが、最近は金属標、コンクリート等が使われている。測量法第10条及び同法施行規則第1条で形状等が規定されている。
衛星画像(えいせいがぞう)
人工衛星に搭載したセンサーにより、地球表面を写真化したものをいう。衛星画像の特徴は、以下のことが上げられる。
- 特定の波長の光やマイクロ波の反射の強さのデジタルデータである。
- そのため各波長ごとのデータの特徴にあわせ、分かりやすい画像の作成が可能である、またその数量化も簡単に可能である。
- 航空写真と異なり、ラインセンサーなどを使っているので中心投影の画像ではない。
- 衛星画像の先駆けであったランドサットは、当初1画素が地上では120mであったが、現在では1画素1m程度まで向上しているものもある。
- 人工衛星の軌道にあわせて撮影周期と範囲が決められており、任意の撮影は一般にはできない、すなわち晴れているときに取れるとは限らなく、必要なときに必ずしも取れるものではない。
- 同じ範囲のデータでは現在のところ航空写真のほうがまだ安価であるが、広範囲のデータでは同時性に優れている。
ALOS(えーろす)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2006年1月打ち上げた陸域観測技術衛星で、”だいち”と呼ばれている。(「だいち」参照)
XY座標(えっくすわいざひょう)
平面直角座標系のことで、地球は局面だが、狭い範囲の測量では平面として計算を行ったほうが便利であり大きな誤差も生じないことから、公共測量のような測量範囲の狭い場合に共通に利用できるよう定めた座標またはこの座標を基とした位置をいう。わが国では東西130km以内を適用範囲とする座標系が「国土交通省告示第9号(平成14年1月10日)で19系定められている。ちなみに兵庫、鳥取、岡山は第Ⅴ系(北緯36度、東経134度20分が原点)、福井、三重、滋賀、奈良、和歌山、京都、大阪は第Ⅵ系(北緯36度、東経136度が原点)となっている。
NSDI(えぬえすでぃーあい)
National Spatial Data Infrastructureの頭文字で、1994年にだされたアメリカ大統領令をいう。アメリカでは国家施策として国土の情報を整備し、メタデータ、クリアリングハウスの構築など情報の共有化を含めデータの整備活用が図られることとなった。わが国でも「GISアクションプログラム2010」などでまとめられているが”国土空間データ基盤”として同様の施策が行われきている。また2007年5月には地理空間情報活用推進基本法が成立し、この法律も別称としてNSDI法ともいわれている。
FMCカメラ(えふえむしーかめら)
空中写真撮影の場合、高速での撮影のためシャッタースピードを1/300秒程度ではぶれが生じてしまう。そこでその飛行方向のぶれをフィルムを動かす事により自動的に補正する装置がついたカメラをいう。
FKP(えふけーぴー)
ネットワーク型RTK-GPS観測のうちの面補正パラメータ方式をいう。これは、3点以上の電子基準点からなる基地局の観測量からGPS測量に影響する電離層等による補正量を計算し、移動局周辺の誤差量を算出し、移動局は、携帯電話により電子基準点のリアルタイムデータの配信業者からこのデータを受け取り、正確な位置をリアルタイムで求める方式である。現在「ネットワーク型RTK-GPSを利用する公共測量作業マニュアル」として、VRS方式とあわせこの方式の作業方法等が国土地理院より出されている。
鉛直写真(えんちょくしゃしん)
航空カメラの場合、カメラが鉛直に向いた状態で撮影された空中写真をいう。なお斜めに向いたものを斜め写真という。
オから始まる測量用語
横断測量(おうだんそくりょう)
河川や道路の断面の地盤高を求め、断面図を作る測量をいう。河川や道路に沿った測量は縦断測量という。
往復差(おうふくさ)
水準測量を行う場合、出発点から目的点への観測は通常往復観測を行っており、その得られた往路と復路の結果の差を往復差という。1級水準測量ではその許容量は2.5mm√S(Sはkm)である。
オートレベル(おーとれべる)
水準儀を三脚で設置した場合、水準儀の望遠鏡を自動的に水平にする装置のついたものをいう。現在の水準儀は通常この装置がついている。
オーバーラップ(おーばーらっぷ)
空中写真撮影で、連続して撮影する場合、お互いにオーバラップして撮影している割合をいう。実体視を行なうため、一般には60%オーバラップして撮影している。これよりすくないと、飛行コースからのずれ、山の高さによる撮影のずれなどで、オーバラップ部分がなくなってしまうおそれがあるからである。なお高いビルなどが林立する場合などでは、撮影死角を少なくするため80%などオーバラップして撮影することもある。
オルソデジ(おるそでじ)
オルソ画像からその画像に写っている道路家屋等の地物をデジタイズすることをいう。オルソ画像なので地物の位置等は空中写真のデジタイズより精度がよいが、図化と異なり位置の精度はやや落ちるほか、高さの情報は得られない。