地籍調査 Q&A

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1.所有者には、費用負担が必要ですか?

地籍調査には、所有者の費用負担は有りません。
財源内訳として国から50%、県から25%、残り25%を市が負担し事業を実施します。

市負担分の内80%は翌年度に特別地方交付税として補填され、実質市の負担は5%です。
境界杭等の必要な資材についても補助対象として認められ、申し出により事前に杭を配布することも可能です。

2.隣接者の居所不明や、立ち会い拒否の場合はどうなるのですか?

隣接所有者が居所不明で、且つ地積測量図に復元性がある場合は、登記官等に立ち会いを求め境界を確定することが可能です。

遠隔等の理由で不立ち会いの場合は、郵送した調査結果に了承が得られると確定することが出来ます。

国土調査法には、現地調査に立ち会わせることが出来ること、また、違反者には処罰の規程がありますが、相手が色々な理由をつけ拒否されると、残念ですが筆界未定となってしまいます。

3.実測図や境界杭がない場合、境界確認はどのようにするのですか?

現地調査は、市から郵送で関係人に立ち会いを依頼します。

当日の出席者間で境界の確認を行います。

不立ち会い者がある場合はペンキ等で仮表示とし、後日改めて現地確認を得た後境界杭を設置します。

4.公図と現地の地番配列等が違う場合、地籍調査で訂正することが出来ますか?

交換登記を経ず、交換したことが明白な場合等は訂正することが出来ません。

事例にもよりますが、明かに登記処理上の間違い、或いは原因不明の場合等には市と登記官との現地調査により可否を決定します。

5.複数地番の一体的利用や、一地番地の複数目的利用の場合はどうなるのですか?

複数筆の同一目的利用は、所有者の同意を得て合筆調査が出来ます。
後者の場合も、複数地番に分筆することが可能です。
ただし、抵当権等や地役権の設定が有る場合は、分合筆調査出来ない場合があります。

6.登記地目と現況地目が違う場合はどうなるのですか?

現地で利用状況を調査し、所有者の同意を得て利用状況に合致した地目に変更することとなります。

7.未相続地を、地籍調査で相続人名義に変更することはできますか?

地籍調査は、地積、地目、所在等表示登記に関する調査です。相続等の権利に関する調査は出来ません。

8.境界確認した実測地でも、地籍調査に協力しなければならないのですか?

地積更正登記は、一筆ごとに地積測量図が作成され、申請を受け一地番毎に管理されています。

いくら正確に測量し、筆界確認書を交したとしても、地震等により境界線が不明となった場合には正確に復元することは困難です。当然、このような場合でも調査の対象となります。

ただし、公的開発団地の一部や区画整理地等で、国土調査法19条5項(地籍調査と同等の精度を有する)の指定を受けた土地については調査対象から除外されます。

9.近年に購入した分譲地等ですが、調査の結果面積が増減することはありますか?

同一機器を使用し複数回測定しても、測定値は同一とは限りません。

測定毎の条件を比較すると、精度や機種、温度、測定者等が違えば当然測定結果に誤差が生じます。

地籍調査に使用する機器は、公的機関の検定を受け、法に定める精度を満たす機械を使用します。多くの地積測量図は㎝単位の表示ですが、地籍調査は㎜まで測定します。

したがって、近年に測量された一般的な規模の宅地でも、0.2㎡程度の誤差が生じる可能性は十分考えられます。これらは、公差と呼ばれ登記申請でも容認されています。

10.境界を確認する資料がない場合は、どのようにするのですか?

まず、現地調査までに登記関係調査を行い、必要資料(隣接地の地積測量図、閉鎖登記簿、土地分割図、土地台帳等)を収集します。

一筆地調査時に法務局公図と現地の整合を調査します。

筆界の接合状況、地域の慣習、隣接地の実測面積等を考慮し各々が納得できる筆界を調査します。大戦後の米軍撮影の航空写真等も参考に調査を行います。

関係者の全員同意が得られないと筆界未定処理となります。

11.実測すれば面積が増えることが多いと聞たことがあるのですが、どうですか?

一般的に、実測面積は増えることが多いと言われています。

しかし、明治時代の地租改正時には、正確な測量が実施されたとは言い難い事例が多いことも事実です。実測すれば、増える例もあれば減る場合もあります。

山林部と比較すると都市部では増加幅が小さくなる傾向が見られ、地目別で比較すると登記面積と実測面積の間には、規則的な相関関係は見られません。

12.境界不明や紛争を解決するには、どのような方法がありますか?

以下3パターンあります。

  1. 境界確定訴訟=裁判による解決となり、時間と費用がかかります。
  2. 筆界特定制度=申請により、筆界特定登記官が半年程度で筆界を特定しますが実費が必要です。
  3. ADR法=同法による裁判外紛争解決手続きと呼ばれる調停に似た制度で、土地家屋調査士会等が窓口となり相談を行っています。

13.問調査後面積が増減すれば、固定資産税に反映されるのですか?

調査を行うと、面積は変動することが常です。

調査成果が法務局へと送付され、登記簿が書き改められると、次年度の1月1日の登記事項に基づき課税に反映されます。

課税権者の責務として、正確な登記内容に基づき、公平な課税を行うよう努めてまいります。ご理解賜りますよう宜しくお願いします。

14.地籍調査による所有者利益とはどのようなものですか?

官民境界協定費用、実測の為の測量費、地積更生や地目変更登記申請費用の負担が不要となります。

成果が不動産登記法14条1項地図に反映されると、境界標の亡失、境界の越境侵入等の争いから解放され、安心して相続を受けることが出来ます。

また、不動産市場からの信頼が高まり、土地取引の円滑化や利活用が推進することにより土地評価が高まり、銀行融資等が受けやすくなる等の効果が期待されます。

今後も、震災等の被害が発生しても復旧事業に早期着手出来る等、利活用が益々高まると思われます。

15.市は地籍調査をどうして推進するのですか?

地震等の災害により、地形が変形するような被害が発生すると、復旧する為には境界の確認が不可欠であり、東日本大震災の例からも必要性は明らかです。

公有財産の管理についても、正確、公平、効率的で質の高いサービスの提供が可能となり、今後導入が予想されるGIS(地図と位置情報が連携したサービス)を活用した電子自治体化への基礎データとしての利用が見込まれます。

また、課税についても、正確で公平な課税が出来る等、行政の効率化、省力化、費用負担の低減等の効果が期待されています。

16.GISとは、なんですか?

簡単にご説明しますと、カーナビゲーションシステムのように、画面地図上に様々な情報を表示させ瞬時に情報を更新することにより、利用者の利便性を向上させることが出来るシステムです。

正確には、GIS(Geographic Information System:地理情報システム)の頭文字をとってGISと呼びまして、位置や空間に関する様々な情報を、コンピュータを用いて重ね合わせ、情報の分析・解析をおこなったり、情報を視覚的に表示させるシステムです。

具体例として、地籍調査で得られた筆界点情報等(緯度経度に基づく電子座標情報)を、地図や航空写真と重ね合わせて、道路台帳や課税台帳、ハザードマップ等の基礎データとして利用が見込まれています。

地図台帳を利用する業務について、航空写真等と重ね合わせることにより、視覚的に訴えることが可能となり、且つ、市民にとっても分かりやすく質の高い行政サービスの提供が可能となり、行政の効率化や省力化に繋がると期待されています。

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